中波(MF)の特徴は安定性にある
中波(MF)は、幅広い周波数帯域の中でも利用範囲が広いのが特徴で、様々なサービスで利用されています。
この中波(MF)の周波数の範囲は、330キロヘルツから3000キロヘルツまでとなっています。
波長については、1000メートルから100メートルまでの範囲で区分されています。
これらの分類はあくまでも慣用的な区分によるもので、電波法では施行規則によってMF帯、もしくはヘクトメートル波として分類されています。
また、総務省の無線局運用規則という、実際の無線の運用のためのルールのいては別の区分もなされています。
それによると、中波帯と言った時は、285キロヘルツより535キロヘルツまでの範囲の周波数帯が指定されています。
これは、無線局を使う際の割り当てが関係している区分となります。
このように、基準となる規則によって、中波(MF)は区分が変わることもありますのでどの区分の仕方をしているのかを確認しましょう。
中波(MF)は、同じ区分の中でも周波数帯によって性質が変わるのが、一つの特徴と言えるでしょう。
たとえば、1000キロヘルツ以下であれば、地上に沿うような形で安定して到達するという特性を持っています。
一方で、1000キロヘルツ以上となると、空の電離層の反射が強くなります。
特に、夜間の電離層からの反射が強くなりますので、かなり遠いところまで電波が届くようになります。
こうしたメリットが生じる一方で、フェージングという現象が起こりやすくなります。
これは、他の電波との干渉が起こって混信しやすくなるという現象です。
そのため、信号が安定せず雑音が混じったり、ひずんでしまったりすることが多くなります。
こうしたことから、このくらいの周波数となると、ラジオ放送のような公共性の高いものには使えなくなります。
その一方で、遠距離にも届くということで、業務用の無線では利用頻度が高くなります。
中波(MF)は今でも活用されるシーンが多い周波数
中波(MF)は安定性が高く、特に中間の帯域ではある程度長距離まで到達する上に、安定性があるというバランスの良い帯域となります。
そのため、AMラジオ放送で利用されています。
また、さらに400キロヘルツ以下の波長の帯域は、到達距離は短くなるものの正確性が高くなるため、ラジオビーコンで使われています。
さらに400キロ台の周波数では、海上通信で利用されています。
船同士の近距離間での連絡用無線として使われることが多く、海上交通の安全を確保するためには欠かせない帯域となっています。
このように、安定性を必要とするサービスにおいて、幅広い分野で利用されているのが中波(MF)なのです。