ミリ波(EHF)

ミリ波(EHF)の特徴は膨大な情報量伝達

ミリ波(EHF)は、1960年代から開発が進められきた、比較的最近になって利用が活発化してきた電波の種類です。
その概要としては、波長は1ミリメートルから10ミリメートルまでのものを言い、周波数は30ギガヘルツから3300ギガヘルツまでの範囲の電波とされています。
このミリ波(EHF)の最大の特長は、膨大なデータ伝送ができるという点にあります。
その特性を生かして、精密な動画や重要なデータ通信のために使われるケースが多く見られます。

直進性が強く指向性が狭いので、狙った場所にピンポイントに照射できるという特性もあります。
こうした特徴を生かして、機器のセンサーやスキャナ―といった分野での開発が勧められています。
他にも、このミリ波(EHF)は宇宙空間から照射される電波の観測という意味でも有名です。
恒星の歴史を調査したり、ブラックホールの仕組みなどを解明するためにミリ波(EHF)の受信と観測がなされているのです。

他にも、光ファイバーやトンネルなどの管内で反射しながら進んでいくという特性もあります。
そのため、野外に照射するだけでなく、光ファイバーによって有線での接続ができるという大きなメリットも生み出しています。
非常に有用な周波数なのですが、まだ歴史が浅いということもあって、研究と開発が急ピッチで進められている分野でもあります。
これからさらに大容量通信のシステムを作るに当たって、注目されていく周波数となるのは間違いないでしょう。

ただし、雨や霧といった悪天候下では減衰が大きく、あまり遠くまで通信できないという難点も抱えています。
そのため、近距離通信に限定されている状態ですが、技術開発によってこの課題も解決される可能もあります。

ミリ波(EHF)は最先端技術で活用されることが多くなっている

大容量の通信ができるという点は、IT化が進む世界には欠かせない周波数となっています。
そのため、無人運転をする電車のカメラ映像の送信などに使用されるなど、重要なシステムを支えるために重要な役割を果たしています。

他にも、直進性と指向性の高さを生かして、車載レーダーで使用される例も増えています。
自動車の前方に設置して、障害物を検知して自動ブレーキを踏むなどのシステムです。
高精度の検知が可能なミリ波(EHF)ならではの使い方と言えるでしょう。

また、同じ特性を生かして全身スキャナーでも利用されています。
空港などの保安検査場で、不審物を持っていないかなどを見るために役立つ周波数なのです。

日本ではこのミリ波(EHF)を、さらに高度な無線通信に使用する計画が立てられています。
より容量が大きくハイスピードな通信をするための、新しい規格の通信手段として期待されているのです。